須田幸英税理士事務所 事務所通信 平成28年11月号掲載
 津波てんでんこ 
 先日、東日本大震災の津波で犠牲になった大川小学校の児童の遺族が起こした裁判で、仙台地方裁判所は石巻市等に賠償を命じる判決がありました。これに対し、石巻市は判決を不服として控訴するようです。
  
  ところで、「津波てんでんこ」という言葉がこの地震の後よく使われましたが、はっきりとした意味を知らなかったので調べてみました。
 まず、「てんでんこ」とは、「各自」「めいめい」という意味です。これは何となく新潟の方言と似ています。「津波てんでんこ」を防災教訓として解釈すると、「津波が来たら取る物も取り敢えず、肉親にも構わずに、各自てんでばらばらに一人で高台に逃げろ」となります。
 古くから言われてきた言葉と思いましたが、1990年11月に岩手県にて開 催された第1回「全国沿岸市町村津波サミット」において、津波災害史研究家である山下文男氏らによるパネルデスカッションから生まれた標語だと言うことです。(考え方は昔からあったようですが・・・)

 大川小学校は大惨事となりましたが、釜石東中学校では次のようでした。地震が起きると、壊れてしまった校内放送など聞かずとも、生徒達は自主的に校庭を駆け抜け、「津波が来るぞ」と叫びながら避難所に指定されていた「ございしょの里」まで移動。
 日頃から一緒に避難訓練を重ねていた隣接する小学校の児童達も後に続いた。ところが、避難場所の裏手は崖が崩れそうになっていたため、男子生徒が更に高台へ移ることを提案し、避難した。来た道を振り向くと、津波によって空には、もうもうと土煙が立っていた。その間、幼稚園から逃げてきた幼児達と遭遇し、ある者は小学生の手を引き、ある者は幼児が乗るベビーカーを押して走った。
 まもなく、「ございしょの里」は波にさらわれた。間一髪で高台にたどり着いて事なきを得た。ということでした。

 この「津波てんでんこ」に対しては、色々な意見があるようですが、私は、現実的な対処方法だと思います。
 また、災害は地震のみならず、火災、台風、大雨等色々なケースがあります。日頃の防災意識・防災訓練とともに、最終的には「動物的な勘」が大切だと思うのですが、いかがでしょうか?

                所長 須田幸英
 事務所通信11月号掲載
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